Enum
Enum
Enumは、数値の定数に名前を付け、その集合に対する定義を可能にしたものです。
Enumはenum
キーワードを使用して定義します。
enum Direction {
Up = 1,
Down,
Left,
Right
}
Enumの本体は、ゼロ以上の数値のメンバーで構成されます。 Enumのメンバーはそれらに結びつく数値を持ち、定数または計算されたものが指定されます。 Enumのメンバーは、次の要件を満たせば定数であるとみなされます。
-
初期化処理を持たず、それ以前のメンバーが定数である。
このケースでは、その場所でのEnumメンバーの値は、前のEnumメンバーの値に1を加算した値になります。 このルールには1つ例外があり、それはEnumの先頭の要素です。 もし、これが初期化処理を持たなければ、
0
の値が割り当てられます。 -
EnumのメンバーがEnum定数式によって初期化される。
Enum定数式はTypeScriptの式のサブセットであり、コンパイル時に評価されます。 下記のいずれかの場合、その式はEnumの定数式になります。
- 数値リテラル
- それ以前に定数として定義されたEnumのメンバーを参照する(異なるEnumでの定義も可能)。 もし、同じEnum内で定義されたメンバーであれば、無条件に(unqualified)名前を使用して参照することが可能。
- 括弧に囲まれたEnumの定数式
-
+
、-
、~
の単一演算子が割り当てられたEnumの定数式 -
+
、-
、*
、/
、%
、<<
、>>
、>>>
、&
、|
、^
の二項演算子を含むEnum定数式。 評価されるEnum定数式がNaN
またはInfinity
の場合は、コンパイル時にエラーになります。
これ以外の全てのケースは、Enumのメンバーは計算されたものであると判断されます。
enum FileAccess {
// 定数メンバー
None,
Read = 1 << 1,
Write = 1 << 2,
ReadWrite = Read | Write,
// 計算されたメンバー
G = "123".length
}
Enumはランタイム時に実際に存在するオブジェクトです。 それを裏付ける1つの理由は、Enumの値からEnumの名前へ、予約されたマッピングを保持する能力があることです。
enum Enum {
A
}
let a = Enum.A;
let nameOfA = Enum[Enum.A]; // "A"
上記をコンパイルすると、下記のようになります。
var Enum;
(function (Enum) {
Enum[Enum["A"] = 0] = "A";
})(Enum || (Enum = {}));
var a = Enum.A;
var nameOfA = Enum[Enum.A]; // "A"
コンパイルされて生成されたEnumのコードは、「名前→値」と「値→名前」それぞれのマッピングを保持するオブジェクトになります。 Enumメンバーへの参照は、インラインでは無く、常にプロパティへのアクセスとなります。 これは多くのケースで完璧で適切な解決策と言えるでしょう。
ただし、時にはこれが窮屈になることがあるでしょう。
余計に生成されるコードへのコストの支払いと、Enumの値にアクセスする際の間接的な処理を避けるために、
Enum定数を使用することが可能です。
Enum定数は、const
修飾子をenum
キーワードの前に使用することで定義します。
const enum Enum {
A = 1,
B = A * 2
}
Enum定数ではEnum定数式しか使用できず、通常のEnumとは異なり、 コンパイル中に完全に削除されます。
Enum定数のメンバーは使用時にはインライン化されます。 Enum定数が計算されるメンバーを持つことが出来ないために、これが可能となっています。
const enum Directions {
Up,
Down,
Left,
Right
}
let directions = [Directions.Up, Directions.Down, Directions.Left, Directions.Right]
生成されるコードは次のようになります。
var directions = [0 /* Up */, 1 /* Down */, 2 /* Left */, 3 /* Right */];
アンビエントEnum
アンビエント(Ambient)Enumは既に存在しているEnumの型の状況によって表されます。
declare enum Enum {
A = 1,
B,
C = 2
}
アンビエントと非アンビエントのEnumの間で異なる1つの重要なことに、 通常のEnumの初期化処理を持たないメンバーは、定数メンバーとみなされるという点が挙げられます。 一方、非定数の初期化処理を持たないアンビエントEnumのメンバーは、計算されたメンバーであるとみなされます。
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